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ハロー、ピンキーガール!

初期の愉快な仲間たち。
2月上旬、悩まされる男共。作中の雑誌は実在しません。

 昔むかし、江戸時代。とある江戸のとある屯所で、とある会議が行われていました。
 会議なんて日常茶飯事の職場ですが、今はみな制服である黒の隊服ではなく、おもいおもいの私服で臨んでいる会議でした。

「だからさァ、予算は500円超えたくないわけよ」
「どんだけ~」
「みんなで持ち寄らなくても個人で買っちゃいけねえの?」
「これとかどうよ。いいと思わね?」
「オレは1,000円までなら出すぜ」

 服同様、セリフもおもいおもい自由に発せられ、まるでまとまりがありません。
 こちらで意見が出ればあちらで否定し、そちらで肯定すればこちらで疑問視する、延々と続くような会議は既に日付を越えて続けられていました。始めたのが大体午後8時ですから、午前1時の今、5時間経過していることになります。

「むしろ作れば安くあがるんじゃね?」
「まずカンパするのか予算決めて個人で買うのか決めようぜ」
「というかオレが欲しい」
「オレも」
「それは皆同じだろうよ」

 さすがに5時間もやって意見のまとまる気配がないと、誰かがまとめ役を買ってでるのが社会というものですが、今夜に限ってリーダーシップを取ろうという人物がいません。
 例えば二番隊隊長の永倉君なんて、自ら面倒事を引き受けてしまうようなタイプなのですが、今夜はずっと黙ったままでした。それに気付く人物はまだいません。彼は黙っていれば結構地味な存在なのでした。

「まずさァ。何で今年になっていきなりあげるんだよ」
「1ヶ月後ってどうなるんだよ。あげたのにもらったらまたあげるのか?」
「面倒だなァ」
「金の無駄遣いじゃね?」
「金額で気持ちを計るのはよくないと思うね、倫理的に」
「うまけりゃいいだろ」
「眠ィ」
「わかりました!」

 ですがやっぱりそこは永倉君です。ダラけた空気を一喝しました。深夜の屯所にピリリと緊張が走ります。

「金額はひとり50円! 集金はおれがします、50円払うときあとで用意しておくカードに連名して下さい。お金払わない人は気持ちも伝わりません。そのお金で材料を買って、副長に作ってもらいます。副長は50円払わなくていいです、失敗しないよう頑張っておいしいの作って下さい。余ったお金で包装紙も買って、案外器用でセンスのある原田さんにラッピングしてもらいます。完成品を渡すのは局長にお願いしたいんですけどいいですか? 他、個人的に渡したい人は渡してもいいですけど、食べる人は1人ということを忘れないで下さい。何か意見はありますか?」

 一気に捲くし立て、永倉君がはっとしたときにはもう時遅し、でした。

「うん、まあ50円なら」
「オレが買わなくていいんなら」
「副長が作るんなら失敗はないな」
「左之がラッピングかァ……まあせいぜい割らないようにな」
「局長が渡すなら平等っちゃ平等だよな」
「パチならしっかり金銭管理してくれるしな」
「いいんじゃねェの」

 場は永倉君をリーダーと認め、温和な空気を取り戻していきました。
 永倉君はがっくり肩を落とします。彼は常に自分のことを貧乏くじ引かされる、というよりは引きにいくと自覚していたので、今夜こそまとめ役なんてすまいと頑張っていたのです。ですが性格は簡単に変わらないようで、しっかりまとめ役と会計係兼メッセージカード係になってしまいました。5時間も黙っていられたのですから随分頑張った部類に入りますが。
 「それじゃ解散」、と手を叩いたのは調理係となった副長の土方君です。彼は甘い物が好きで、その好きな感情は食べるだけではなく作ることにも向いていました。調理係もまんざらではない様子です。彼も結構仕切りたがる性格ですが、事が事なだけに自重気味でした。
 土方君の声に、大広間に集まっていた隊士たちが部屋へ戻っていきます。彼等もよく投げ出さず5時間も保ったものです。気になることもなくなりゆっくり眠れることでしょう。

「さてと。俺たちも寝るぞ」
「はい……」

 部屋の真ん中に置かれた雑誌を手にした土方君が永倉君を呼びます。
 その雑誌は、今日の会議に出席しなかった、一番隊隊長の沖田さんの部屋にあったものです。所用で部屋を訪れたとき、不在だった主が買うには珍しい、女性雑誌を見つけた土方君が断りなく持ち出したものでしたが、1度読むと興味をなくす沖田君は本の不在に気付いてはいないでしょう。彼女は夜勤なので、このあとこっそり戻しておいてもバレることはないはずです。

「……ったく、どういうつもりなんだ編集者め……」
「お菓子業界も一枚噛んでますよね……」

 苦々しくふたりが覗き込む女性雑誌の特集記事の見出しは、夜だというのにきらきら輝いていました。

『今年は逆チョコ!おねだりせずにもらえる“いいオンナ”の条件とは?
 ~「先手必勝だろ」「くれない男にはガッカリ」 必見☆男女別バレンタインのホンネ~』




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