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温度をうつして

初期永倉と沖田。沖永ではありません。
冬口の見廻り。

「……寒!」

 開けた瞬間、冷気が攻め込んできて、がらぴっしゃんと引き戸が閉まる。

「ほらほらいきますよ」
「い~や~さ~む~い~」

 開けられ閉められた扉をカラカラと再び開けて、渋る同僚を外へと引っ張り出す。嫌なのはみんなおんなじ、と諭しても意味がないから説得よりも実力行使。

「うー……マジありえないわーどっきりめっきり冷え込みすぎじゃない?」
「夕方は特に冷え込んで来ましたねー」
「くそ、何でそんなに冷静なんだ、お前も寒がれ!」
「え、ちょっと何す、ひやぁア!」

 まるで氷でも掴んでいたのかと思うほど冷たい手を首筋に当てられ、路上でいらぬパフォーマンスをしてしまう。周りの目も冷たく、唯一あったかいのは沖田さんの手だけだろう。何でさっきまでこたつに突っ込んでたくせにそんなに冷たいんだというツッコミはしないでおく。

 びゅうびゅう吹き抜ける風は秋色から冬色へと変わってきている。肌を触るようなものから、肌を突き刺すようなものへ。
 走り去っていく風音、耳が他の音を拾うのを遮断する。

「コンニチワー」
「こんにちはー」

 でっかいでっかい白い犬とのっそのっそ擦れ違い、アアあったかそうと夢想した。

「あ、コンビニ。永倉、肉まん」
「ダメです」
「じゃあ、おでん」
「ダメですって、何でランクアップしてるんですか」

 入ろうとする沖田さんの袖を引っ張っていると、不意にがっこんと音がした。振り向くと同時、熱さを覚えて顔を引っ込める。

「あったか~い」
「って、また買って!」
「永倉にもあげるから」
「いりませんよ全く!」

 無駄遣いを咎めても平気な顔している沖田さんを見て、やれやれと肩を落とす。この人のためにおれは、今晩ホッカイロを見つけ出しておくのだろう。絶対言わないけど、美人と女の子と好かれた人は得だと思う。
 さっきおれの頬に当てられた缶コーンスープは、今は沖田さんの頬に寄せられている。これで当分は静かになるだろうけど、大丈夫だろうか。始まったばかりだというのに、見廻り当番も冬の季節も。

 白い息が、夕闇に溶けていった。




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