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お題を使って綴ります
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初期沖田と土方。 去年の10月2日を最後に放置していたところを救出。夏気分でどうぞ。 ごっ! 「……あれ?」 「ん~ハンドルきりすぎだね」 ぬおぅ。またやってしまった。 ローからバックへギアを切り替え、緩めにアクセルを踏む。今のは外側だから反対にハンドルをきって、と。苦労して意識を切り替える。 「さっきはちょっとスピード出てたから、もうちょっと緩めて進んでね」 「はい」 頷いてアクセルから足を離していくと、がくんっと車体が揺れて止まった。 「……あれ、止まり、ました? ね」 「はいクラッチ踏んでブレーキ踏んで、エンジンかけて」 「おのれエンストォォォ! うう、クラッチ、ブレーキ、スタート」 どこまでも冷静な指導員に助手席から助言を承り、エンジンストップした教習車を再起動させる。 自動車の運転がこんなに複雑だと思わなかった。でも職業柄、取らないと仕事の幅が狭いままだし、田舎ならともかくこの都会で生きるにはやはり免許は必要なところ。だからこうやって通っているわけだが、そもそもあたしは運転に向いてる体質じゃないのだ。同時進行が出来なくて、目と手と足がちぐはぐになり、動作が噛み合わない。 「じゃあ次、S字ね。11番曲がったら25番どうぞ」 「11番、25番、S字」 なんとかクランクから脱出し広い道に出たところで新たな指示をもらう。曲がり角ひとつひとつに与えられた数字を口に出して無理矢理インプット、ここにきてS字という言葉にぎょっとした。 「S字!?」 「だぁいじょうぶ、さっきやってみせた通りだから。要はカーブの繰り返しだし」 「S字S字S字……」 「肩の力抜こうね」 そうしてあたしは日が暮れ、終了予定の時刻までアクセルを踏み続けた。 目の前の白黒カラーの車が異様に映る。教官や他の生徒さんは慣れたみたいだけど、どうにも。 「お疲れー」 「……いい加減、送迎車がパトカーって目立つんですけど……」 「迎えに来ねェと帰って来ねェじゃん、お前」 「失礼な」 助手席に座ってシートベルトを締めて。滑り出すパトカーにまるで連行されているようで、ここに座るときは私服じゃなく隊服がいいなといつも思う。 習うと他人の運転が気になるというのは本当だった。土方さんは随分と丁寧な運転をしている。ブレーキを踏んだ感覚もなく止まる信号、余裕の顔して土方さんが今日も頑張った、と話しかけてきた。 「頑張りましたよ。教習所に来て初めて褒められましたし」 「ほー! 何を?」 「S字」 「そいつはすげぇや」 「サルスベリが綺麗だな~って思ったり」 「前言撤回」 しまった、言うんじゃなかった。初めて褒め言葉を頂いたのに、自慢がまるつぶれだ。 教科書の入った鞄を抱き締めてはぁと溜息をついた。 「うう、早く取りたい……」 「ほぅ、感心感心」 「そしてあたしに免許取らせようと勝手に手続きした某副長を海に沈めるんだ……!」 「オイ」 角の定食屋のいい匂い。 おなかすいたなと思う、夕餉まであと少し。同乗者が寝られるようになったら上達した証拠、教官の言葉を思い出して眠ることはやめにした。 Title:>set>5>夏>(真夏) PR | カレンダー
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