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超絶戦闘マシーン

沖田とたま。
夏企画用に書いていたら長くなったのでこちらに移動。

 こりゃひでえな、隣で土方さんがもらした。この人のいうことには全て反対の返事するのが趣味だけど、さすがに今回は否定しないで頷いた。まるで俺が出動したあとみたく瓦礫が煙と血と何いろいろなものに塗れて散乱している。出番なさそう。これ以上この場に壊すものはない。
 最近なりをひそめている桂の代わりは五万といるらしい。こんなに自分の住む地を汚してどうするのか、さっきまでの思考をころりと変えて俺は嘆息する。
 手分けして生存者を捜索する。崩壊の危機に加え、まだ爆発する仕掛けが息を止めたとは限らない、だから慎重にならざるを得ない。こういう緊張感は好きじゃなかった。罠に入っていくより罠を破壊するほうが性に合っている。

「止まってください」

 声に従順になったというよりは、ガラリとコンクリートが崩れてドアだったものが持ち上がった、生存者認識により足を止める。

「武器から手を放してください。さもなくばテロリストと認識し攻撃を開始します」
「……お前……

 どんな技術を使ってここまで似せたかはわからない。けれどやはり人間とは異なる外見の、それはどこかで見たことのありそうなカラクリだった。この場にそぐわないメイド服が、本来の職業を物語っている。
 一旦、菊一文字を鞘におさめ、隊士を呼ぶかどうか考える。下手に人を呼んで話を混乱させても得はないと結論に至り、ふっと肩から力を抜く。戦闘する気がないことを認識したらしく、相手もモップを掲げる手を下ろし た。

「用件を聞こう。話す時間は短いかんな、すぐに誰かが来るだろうから」
「了解しました。あなたを攻撃対象から外します。この子を保護することは可能ですか」

 大きめな瓦礫へしゃがみ込み、それを盾に気絶している子どもを引きずり出す。近所の子どもだろうか、あいにく面識はないが巻き込まれた市民だということはいやでもわかった。
 戦闘意欲がなくても味方だとは限らないと思うけど。カラクリのくせに随分応用力のある個体だと思った。

「何でこんなところに入り込んでるんだィ」
「かくれんぼです。私は鬼でした」

 保護という言葉を使ったのだから生きてはいるのだろう。カラクリから子どもを受け取る。そこで気付いた。

「お前、指ないぞ」
「爆発に巻き込まれました。痛みはありませんのでご安心下さい」

 そーゆー問題じゃないだろ。やっぱりカラクリはカラクリだと前言撤回する。

「守ってくれたのか」
「はい。遊び仲間です。独断ですがそうすべきだと判断しました」
「テロとして壊したんじゃねェんだな?」
「建物を破壊したのは私じゃありません。この子を守るためにこの部屋の一部は私が破壊しました」
「すげぇや」

 怪我はしていなそうだった。頭をうっていなければいいと祈りながら、そっと背負う。

「すごくはありません、搭載されている防衛機能です。守るべきものを守るためならオートで戦闘モーションへ移行します」
「俺も時々そうなるなァ」
「?」

 わからない顔をしたカラクリが少し可愛いと思った。
 ガラン、細かい瓦礫が落ちてきて、そろそろ場所を変えたほうがよさそうだと思考を転換する。

「俺の記憶違いじゃなきゃ、お前回収されるべきカラクリだろ?」
「はい」
「一緒に来てもらいたいのが俺の職業、あるいは立場な。でも今なら見逃せる。……今ならな」

 言葉の裏を読むことは出来るだろうか。テロリストじゃないことは嘘をつけない言動で理解できた。反逆しているのなら子どもを簡単に渡さないだろう。それとも俺は、プログラムごときを信用しすぎだろうか。

「了解しました。脱出します」
「うまく逃げろよ」

 ひらりと片手を振ったら、指が一本欠けた手を振ってくれた。
 どがぁん、モップが火を噴いた。格好良い。今度俺も欲しいなと煙に撒かれながら子どもの口を押さえてしゃがみ込む。
 ここからこの子を守るのが、俺の仕事。




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BGM:Re:nG『binary star』,うたたP『ストラトスフィア』
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