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微熱と汗―夏の夜編―

初期沖田と土方と永倉。
夏祭りデート。

 パン! パン! パン! パン! パン!
 連射できないのがもどかしいが、弾を詰める、ただ少し手間をかければいいだけのこと。命中しない理由などどこにもない。
 五発撃ち終わったところで店主に目を向ける。当たっているし倒れてもいる。証人は勝手に後ろにずらり。どこの組のものか知らないけど、文句はないだろう。

……ケッ、そんなに欲しければくれてやらあ!」
「ハイハイ、もう重りを入れるのはやめなよね」

 最後にダメだしして賞品を受け取る。店じまいしようか上に怒られようが下に舐められようが知ったこっちゃない。あたしはただ、小さな子どもに絡んだ上、小細工して金を巻き上げるバカに正攻法で鉄槌を下しただけ。見かけたときは泣き顔だった、今は笑顔の少年にちゃっちいおもちゃと駄菓子を全部渡して、これ以上詮索されないよう人混みに紛れる。

「オイ」
「はい」

 ずっと野次馬の振りをしていた土方さんと人混み内で合流して、庶民に紛れてカップルの真似をする。いやあたしたちも庶民だけど。

「あんまり目立つな。ここは俺らの管轄じゃねーんだ、問題起きたら関わっても関わらなくても面倒だ」
「ただ祭に参加するだけなのになんて縛りが多い職業」
「今更だ今更」

 今日は何かが起こっても知らない振りをしなければいけない。下手に国家警察が関わるとあとで同心たちがかわいそうなことになる。あたしはそれほどでもないけど土方さんも面倒なことになる。何だかな。デートってこんなに質面倒臭いものなんだろうか。

「お、と」
「う、わ」

 デートの定義を考えていたら人混みに生じた荒波に呑まれた。しまったと思ったときには離れ離れ、あ、と思ったら右手を捕まれた。タコで硬くなった掌。

……積極的」
「え、あ、わあ!?」

 振り払おうとしたから握り返してやる。自分で握っておいてそれはないんじゃないの。
 任務じゃないから特に行き先を言わずに出てきたのに、どこでバレたんだか。いつからついてきたの、とは訊かない。うまく波から助けてくれた礼として。

「あのですね、別に、その、そう! ここの祭って大規模らしいから見に来たんです、原田さんたちと!」
「みんなも来たの」

 この国はどこまでも平和らしい。知ってる姿はまるで見えないじゃがいも畑に溜息を吐く。

……あの人に会うまでね」
「え?」
「ナイショね」

 ひとりになったら寂しいでしょ。笑って汗ばむ手を引いて、祭へと身を投げる。
 酔うにはまだ早い。人にも、酒にも、恋沙汰にも。




Title:>set>5>夏>(真夏)
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