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お題を使って綴ります
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初期な永倉と沖田。 朝の花。 「咲かねンだけど」 「はい?」 「これ」 昼休みが終わって数分、まだ仕事戻ってないんですかとツッコミは腹の中。時々底から土を零しながら、沖田さんはひとつの鉢を持って来た。 「雨だからじゃないですか」 「だってあたしが買ってから一度もよ?」 「土曜でしたっけ、買ったの」 「んーん、日曜」 「じゃあ尚更ですよ。今週一度も晴れてませんもん」 「エー」 そういうもんなの。そういうもんです。 むくれる沖田さんは緑色した葉っぱをちょこちょこつつく。つい最近、花屋で一目惚れしたと言って買って来て、自室に面する庭に置いていた。 「あーあ、花屋さんに訊いてみよっかなァ」 「多分同じような答えだと思いますけど」 「いやァあそこの花屋のおにーさんイケメンでさァ」 「……」 一目惚れしたって花じゃなくてもしかして、……エエ? 「……永倉ァ」 「はっ」 「何でそんな深刻になンの。アンタたちだってどこそこのお嬢ちゃんが別嬪でェなんて話普通にするでしょうに」 「……本当に?」 「ばっか。かっこいいだけの人間なんていらないっての」 花の話で人間観を見られるとは思わなかった。さばさばした性格は本当に合理的に出来ていて、でも咲かない花にやきもきするアンバランスさも持っている。確かに、綺麗なだけの人はつまらないかもしれない。 「そもそも、五時に咲いて六時に萎む、短命な品種もありますよ」 「マジでか」 「例え今日が晴れだとしても多分今頃萎れてます」 「まあそのへんはさすがにわかるけど……でも、六時かァ……」 何気にショックを受けたらしい。朝練もサボり気味のこの人に六時は辛いだろう。とはいえ連日の暑さに少々早起きスタイルみたいだけど。上着はどこに脱ぎ捨てたのか白いシャツを捲って肘に溜め、前は胸元ギリギリまで寛げるもしかし、ベストは脱がない律義さに苦笑する。 「夏ですねェ」 「まだ梅雨よ」 「夏ですよォ」 やり取りに飽きたのか沖田さんはまあいいやと鉢を抱える。猫背に丸まり部屋の端で、梅雨の空気に身を浸し、咲かないなとひとつ零す。 膝小僧の間に抱かれて小さくキスされる、朝咲く花へなまぬるく嫉妬した。 coaxial:『ゆるゆると絡まり合う視線』 Title:>select>short PR | カレンダー
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